DIY王国アメリカ
とにかく、アメリカは大きい。土地柄も様々だ。だが、概ね、「住まい」への興味は高く、自分でもあれこれと手入れする。そのための道具や材料も豊富だ。修理はもちろんのこと、日曜大工で、家具や暖炉を作る人も多い。我が家もキッド販売品で作ってしまう人もいる。副産物である藁を俵にして作る「ストローベール(藁俵)の家」を、親戚、近所総出で作る光景もみかける。藁だから、作業はかなりチクチクするが、工程では、子供も十分手伝える内容もある。わが事務所所長のTullioも、アーキテクトの資格とともに、コントラクターの資格も持っている。自邸には、どこから探してきたのだか、国籍不明のインテリア材が、そこかしこに鏤めてある。おかげでわたしも現場で大工仕事、というケースが多々あった。都心でも、ペンキの塗り替えに始まり、週末には、補修、改装などの作業を目にすることが珍しくない。
建材王国日本
自ら作業に関わる利点の一つに、材料が吟味できる、ということがある。原料は何か、どういった影響が人体や環境にあるのか、異臭を放つもの、自分に合わない材料は、作業ができないから、使うことがない。また、どういった環境にいるかを理解しているので、原因を把握しやすい。日本ほど、新建材が多い国は類を見ない。第二の皮膚、といわれる住環境だが、ホルムアルデヒドばかりが、有害なのではない。檜や杉にも拒否反応がある人もいる。個別のアレルギーのことまでは考慮されていないのだから、住環境も人任せばかりでは、問題を生じかねない。
アメリカ環境建築事情
合衆国には、全米に支部を持つ、建築環境に関わる民間組織「USGBC(U.S. Green Building Council)」が提案する「LEED(The Leadership in Energy and Environmental Design)」がある。これは建築全般の環境基準で、いわゆる建築基準法とは別。より環境に配慮され、持続可能な社会を目指すための基準、といえる。新築のみではなく、土地開発、改装なども含まれる。また、ISOのように、団体、組織単位で、莫大な資金と事務処理を要することはなく、プロジェクト単位で認定を受けられる。現在では、建設業者もLEEDを基準にしていることを謳っているところが多く、社会的信頼も高い。LEEDの認定を受けるには、プロジェクトを登録後、審査を受ける必要があるが、誰でも認定資格があり、資料も豊富で、勉強会もある。各企業や、建築家も専門家、一般向けに頻繁に勉強会を催している。また、ボストンには、地域に根差した「Green Round Table」がある。建築に関わるすべての環境を持続可能にするために、様々な業種が連帯している組織だ。相談者が、あちこち個別に走りまわり、タライ回しにされずとも、建築相談窓口は一つで済む。事務所も最も人通りが多い、ボストンの目抜き通りにある。
異業種交流
「住」に関わる職業は、医者、弁護士、税理士、銀行、行政からネジ製造業まで多岐にわたる。設計者は異業種はもちろんのこと、命の源である、水や空気のよりよい環境を提供してゆくためにも、設備技術者、企業とは、もっと協力体制を組織してゆくべきだろう。
同時に、オンブズマンとしても、知恵袋としても、市民自らの参加、協力も期待したい。情報もモノも溢れ返る現代では、自らの手で自らと未来の環境を選択していく姿勢が必要になってきている。