どのようにして、いい工務店(住宅会社)を選ぶかという事の前に、 私は、どうしても、「よい施主」ということについてまず、考えていただきたい。 それは、「よい施主にならなければ、よい家は建たない」と思うからです。
◎ 決めるのはあなたです
もう12年も前のことです。他にはない、自分らしい家をつくりたいけど、どうしたらいいのかわからない。住宅メーカーとか、近くの工務店で果たして可能か不安だ、という一般の方と、一般の人の、個性のある、こだわりのある家づくりをお手伝いしたい、という建築家10人が一緒になって、住まいのこと、自分たちが暮らす環境の事を勉強する場を主宰していたことがありました。 ある時、初めて勉強会に来られた方が、1週間くらいして電話をかけてこられました。「どうして私の家に来ないのですか」「勉強会に行くと、他のところはすぐ来て、プラン、見積り作ってくれるのにどうしておたくは来ないのですか?」というのです。そこで私は次の勉強会のときにこういうことを話しました。 「私たちは、こちらから営業をかけるようなことはしません。皆さんは、じっくり時間をかけて納得のいくまで勉強してください。そしてもし、あなたの住まい作りをお手伝いさせていただける建築家が見つかったら、あなたから声をかけてください。決めるのはあなたです」と。
◎ 施主とは施(ほどこ)し主(ぬし)のこと
「どうして来ないのか」と言われた私は、今の住宅業界の施主と建築会社との関係の実態を見たように思いました。「住宅を建てさせて欲しかったらどんどん営業に来い、安くてよかったら買ってやる」。これでは、多分、いい家は建たないでしょう。本当に満足のいく良い家をつくろうと思うのなら、よい施主になってほしいと思います。よい施主にならなければ、よい住宅は建建ちません。 よい施主とは、この施主のために一生懸命よい住宅をつくってやろうと、仕事に携わるすべての人に思ってもらえる人のことです。「施主」というのは「施(ほどこ)し主(ぬし)」と書きます。昔はそうだったのだと思いますが、施主とはそんな気持ちを持った人のことでしょう。 「建てさせて欲しかったら来い」という前述の人の場合、きっと、建築中にトラブルが絶えないでしょう。そして、施主も、工事に携わった人も、だれもが「よかった」という家は多分、建たないでしょう。本当にいい家を建てたいと思ったら、是非、まず、いい施主になって欲しいと思います。